虹の橋-第三部 「雨降り地区」

こんな風に、幸せと愛の奇跡に満ちている、虹の橋の入口に、
「雨降り地区」と呼ばれる場所があります。

そこではいつもシトシト冷たい雨が降り、
動物たちは寒さに震え、悲しみにうちひしがれています。
そう、ここに降る雨は、
残してきてしまった誰かさん、特別な誰かさんの流す涙なのです。

大抵の子は半年もしないうちに、
暖かい日差しの中に駆け出して仲間と戯れ、遊び、楽しく暮らすことができます。
ほんの少しの寂しさと、物足りなさを感じながらも…。

でも、1年たっても2年たっても、
ずっと雨降り地区から出て行かない子たちもいるのです。

地上に残してきてしまった、特別な誰かさんがずっと悲しんでいるので、
とてもじゃないけれど、みんなと楽しく遊ぶ気になれないのです。
地上に残してきた誰かさんと同じつらい思いをして、同じ悲しみに凍えているのです。

死は全てを奪い去ってしまうものではありません。
同じ時を過ごし、同じ楽しみを分かち合い、愛し合った記憶は、
あなたの心から、永遠に消え去ることはないのです。

地上にいる特別な誰かさんたちの、
幸せと愛に満ちた想い出こそが、虹の橋を創りあげているのです。

ですからどうか、別れの悲しみにだけ囚われないでください。
彼らはあなたを幸せにするために、神様からつかわされたのです。

そして、何よりも大事な事を、伝えにやって来たのです。
命と儚さと愛しさを。

束の間の温もりに感じる、慈悲の心の尊さを。
その短い生涯の全てを以って、教えてくれるのです。

癒えることのない悲しみだけを、残しにくるのではありません。

思い出して下さい。

動物たちが残して行ってくれた、形にも、言葉にもできない、様々な宝物を。

それでも悲しくなったら、目を閉じてみて下さい。
虹の橋にいる、彼らの姿が見えるはずです。

信じる心のその中に、必ずその場所はあるのですから…。

 

※第三部は「雨降り地区」という副題で日本人の芝山弓子さんが作られたとされています。
芝山さんは亡くなられていて、公開されていたホームページも閉鎖されているようですが、
いろいろな方がこの素晴らしい詩を引用しています。

家族との別れを悲しむ飼い主に、情感のこもった言葉で語りかけてくる内容です。